春の嵐が通過中

三浦しをんさんの文庫があったんで読みました。

秘密の花園 (新潮文庫)

秘密の花園 (新潮文庫)

まほろ駅前多田便利軒』に続く2冊目だったせいか、ずいぶん印象が違います。女子高生3人それぞれのお話です。

若気の至り、背伸び、世間を冷めた目で見て語る、あ〜、初々しいくてかわいい。どの話もはっきりした結論じみた終わりがない。高校生の頃の不安定な心を残したままの終わり方になっていて、カトリック系の学校だけに、ところどころに『ノアの箱舟』『パンドラの箱』なんて言葉が効果的に使われてる。なかでも『パンドラの箱』についての翠(3人の内の1人)の解釈が気に入っている。

パンドラが開けてはいけない箱を開け、あらゆる災厄が世の中に広がり、慌てて蓋を閉め、その中に残ったのが『希望』、そして災厄に満ちてしまった世界で、人間には希望だけが残された、って話。

それをこの子は、

神様はいじわるだから、箱の中にいっぱい悪いものをつめてパンドラにあげた。その中のいちばん手に負えない災厄が、人間には残されてしまった、という話じゃないかといつも思うのよ

妙に納得してみたり。